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大阪地方裁判所 昭和57年(わ)757号 判決

本籍

愛媛県西条市神拝甲三六八番地の二

住居

大阪府枚方市牧野本町一丁目二〇番一七号

歯科医師

宮崎洋

昭和一二年二月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

一  被告人を懲役一年二月及び罰金二、〇〇〇万円に処する。

一  右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

一  この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶与する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、肩書住居地において、宮崎歯科医院の名称で歯科医業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、自由診療収入の一部を除外し、純金地金を取得するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五三年分の実際総所得金額が五三九八万四七七七円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、所得税確定申告書の提出期限である同五四年三月一五日までに所轄枚方税務署長に対し、同申告書を提出せず、もって不正の行為により同五三年分の正規の所得税額二四七七万四六〇〇円から妻育代名義の申告税額三七八万六六〇〇円を控除した二〇九八万八〇〇〇円を免れ、

第二  同五四年分の実際総所得金額が六一〇〇万六〇三円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、所得税確定申告書の提出期限である同五五年三月一五日までに所轄枚方税務署長に対し同申告書を提出せず、もって不正の行為により同五四年分の正規の所得税額二九六四万一四〇〇円から妻育代名義の申告税額四六六万六〇〇〇円を控除した二四九七万四八〇〇円を免れ、

第三  同五五年分の実際総所得金額が五六四九万二一九一円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、所得税確定申告書の提出期限である同五六年三月一六日までに、所轄枚方税務署長に対し、同申告書を提出せず、もって不正の行為により同五五年分の正規の所得税額二七四五万八三〇〇円から妻育代名義の申告税額四六六万九四〇〇円を控除した二二七八万八九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の被告人に対する各質問てん末書二一通

一  被告人作成の確認書と題する書面一二通

一  宮崎育代の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の宮崎育代(四通)、肥後三紀、白井義幸(五通)、中谷英子、大西勝美、藤田義夫に対する各質問てん末書

一  中谷洋一、勝部彌、嶋田幸男、宮崎順平、中井恕人、丸尾文治、牲川六雄、水川清、阪神電気鉄道株式会社、橋本考一、天海義郎、阪急証券代行株式会社各作成の捜査関係事項照会回答書

一  宮崎育代作成の確認書と題する書面

一  収税官吏作成の査察官調査書二六通(収税官吏松本五平作成の昭和五六年七月二日付け及び同月二三日付けのものを除く)

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書(昭和五三年分)

一  宮崎育代作成の昭和五三年分所得税確定申告書謄本

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書(昭和五四年分)

一  宮崎育代作成の昭和五四年分所得税確定申告書謄本

判示第三の事実につき

一  収税官吏松本五平作成の昭和五六年七月二日付け及び同月二三日付け各査察官調査書

一  収税官吏作成の脱税額計算書(昭和五五年分)

一  宮崎育代作成の昭和五五年分所得税確定申告書謄本

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも行為時においては、昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の所得税法二三八条一項に、裁判時においては、改正後の所得税法二三八条一項に、各該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから、刑法六条、一〇条によりいずれについても軽い行為時法の刑によることとし、いずれも所定の懲役と罰金を併科し、かつ各罪につき情状により所得税法二三八条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については、同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で、被告人を懲役一年二月及び罰金二、〇〇〇万円に処し、同法一八条により右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間右懲役の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 金山薫)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和53年1月1日

至 昭和53年12月1日

合計所得

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和53年1月1日

至 昭和53年12月1日

(事業所得)

〈省略〉

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和53年1月1日

至 昭和53年12月1日

(利子所得)

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和53年1月1日

至 昭和53年12月1日

(配当所得)

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月1日

合計所得

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月1日

(事業所得)

〈省略〉

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月1日

(利子所得)

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月1日

(配当所得)

〈省略〉

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月1日

合計所得

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月1日

(事業所得)

〈省略〉

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月1日

(利子所得)

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月1日

(配当所得)

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月1日

(譲渡所得)

〈省略〉

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